高田耕造商店
地場産業として、
たわしや箒といった、家庭用品の製造が盛んであった
和歌山県海南市で、1948年に創業した高田耕造商店。
それまでは大手メーカーの下請けが主だったが、
2004年、初めての自社製品である
「たわしストラップ」のヒットをきっかけに、
本物の棕櫚(しゅろ)に特化した様々な
道具を製造、販売。
当たり前のように毎日使っていただけるように、
使いやすいと言っていただけるように、
たわしを日々研究し、職人の手でひとつひとつ
作られています。
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01 棕櫚が面白い
棕櫚のたわしを作り続けるのは“棕櫚という材料が面白いから”と
語る高田耕造商店の
高田尚紀さん。
「百貨店催事に出始めた頃はまだまだ知らないことが多く、
お客様とのお話の中で勉強させて頂くことも多くありました。
今ではあまり馴染みのない素材ですが、昔は人々の生活のすぐ近くにあって、
皆さんいろんな思い出があるんですよね。 耐久性や強度が求められる井戸水を引き上げる際に使われる滑車の縄や、
水を濾過するフィルターの一部分だったり、
はたまた、実や葉っぱを自分で加工しておもちゃにしたり・・・、
今ではある程度の知識を持っているつもりですが、
それでもまだまだ未知な部分がある、やっぱり棕櫚は面白いですね。
そして、そんな棕櫚の良さはもちろん、
たわしの良さをもっともっとたくさんの人に知ってほしい。
色んな形を作ることができるから色んなものに使える。
やさしく洗いたいものからガシガシ洗いたいものまで
幅広く使えるのが一番の魅力ですね。」
そう語られる高田さんからは、棕櫚のたわしへの誇りと大きな愛を感じました。 -
02 性質に合った使い方を
高田耕造商店では、キッチン用やお掃除用、
からだ用など多種多様なたわしを製造しています。
その用途に適した材料を選別し、
使い分けられているのも魅力の一つです。
キッチンで、ガラスのコップや焦げつき防止加工済みの
調理器具を洗うたわしにはより柔らかい部位を、
鉄のフライパンや土鍋のように
ゴシゴシ洗いたいものには「鬼毛」と呼ばれる、
とてもかたい部位が使用されています。
また完全予約制の「からだ用のたわし」があり、
そちらには大変希少な和歌山県産の棕櫚が使用されています。
他産地の棕櫚よりも繊維が細く、独特なやさしい手触りは、
それまでのたわしのイメージが変わるほど。
素材本来の性質に合わせて使い分けをされているので、
たわしもより長持ちし、
使う側の私たちにとってもフレンドリーで嬉しいですよね。
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03 できることはするをモットーに
昔の道具は手入れも大変で、
扱い方も難しいイメージをお持ちの方が多くおられると思います。
そんな中、高田耕造商店さんは
「自然体で誰が使っても“使いやすい”道具」を目指しています。
お客様がストレスなく日常使い出来るよう、
修理や特注品のオーダーにも対応されています。
「“小さい間口の水筒に合うたわしを作って欲しい!”という軽めのものから、
“たわしで背中を掻いてみたい”という、
面白いご要望をいただくことも。
“できることはする”をモットーに、ご依頼は1個から喜んで応じている。
修理に関しても、直してでも使い続けたいと
思っていただけることが何よりも嬉しいことなので、
どうにかそれまでと同じように使えるよう、試行錯誤している」と
話してくださいました。
ひとりひとりのお客様を大切にしているからこそ、
お客様にもその思いが届きたわしを大切に使ってくれている、
そんな風に思った瞬間でした。 -
04 やさしいたわしを暮らしへ
これまで70年以上、たわしを製造されてきた髙田耕造商店さん。
当時は100軒以上あったといわれるたわしの製造元は、
安価な輸入材料やスポンジをはじめとする石油化学製品に押され、
時代の流れにより淘汰されてしまいました。
「たわし屋」として、原点ともいえる棕櫚を見つめ直し、
改めてその「良さ」に気付き、日々研究を重ね、
確かな技術で商品を作る。
お客様を大切にされてきた髙田耕造商店だからこそ、
現在まで続く歴史があります。
これまでの“たわし”の概念を払拭し、
ジャンル問わず色んなものに使うことができる髙田耕造商店の“やさしいたわし”。
あなたの暮らしに取り入れられてみてはいかがでしょうか。
高田耕造商店の暮らしに寄り添うたわし
髙田耕造商店さんは、辺りが田んぼや山々が見える自然豊かな場所に位置していました。
工場の入り口には、歴史を感じる板にかかれた「髙田耕造商店」の文字が。
壁に立てかけられているたわしの中には、
これまでに販売してきた色々なかたちのたわしがあり、見ているだけで楽しい空間でした。
お話がお上手な高田さんとも話が尽きず楽しい時間を過ごし、
気付けばついつい長居をしてしまいましたが、実際にたわしを作る工程も
見学させていただき、手作業でしかできない工程や、
長きにわたってたわしを作ってこられているからこその職人の感覚というものを目の当たりにし、
私自身たわしに対する概念の変わった貴重な日となりました。
是非、髙田耕造商店の作る棕櫚のたわしをお家に迎えてその使いやすさを実感してみてください!