木のささやきに耳を傾け
木が生きていく形に仕上げてく
ろくやおん。として兵庫県加古川市の工房で木のカッティングボードなどの
木工品を作られている石田真帆さん。
カッティングボードをはじめ、うつわや木べらなどの雑貨を作られています。
天然木を使用し、捨てる木を少なく、作る際にも端材を出さないように心掛け、
木そのものを生かした作品作りをされています。
大胆な形のものや、かわいらしい雰囲気のもの、ありのままの木の姿を表現した作品には、
木のぬくもりや、優しさが感じられ私たちに癒しを与えてくれます。
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01 木の本質、心動かされ
木工作家になられるまでは調理師として働かれていた石田さん。
20代の頃、建築系の仕事をしていた父に連れられ製材所を訪れた石田さんは、そこで見たたくさんの木々たちに魅了され、“木を触る仕事がしたい”と思ったのがきっかけで、今の職に就きます。
普段から“ものを作る”ことがお好きだそうで、趣味はお料理に釣り、バイクや車を触ったりすること。
作品作りに対しては厳しく、実直である反面、お話すると気さくで笑顔の絶えない方です。 -
02 木、そのものを生かす
作品を作られるうえでのこだわり、それは木そのものの一番の良さを出すこと。
素材を生かして作るものが多いので、自分を出さないようにしている。
あくまで、主役は木であって自分ではないと石田さんは言います。
木は切った後でも生き続けており、生きているからこそ、まっすぐの子もいれば、
曲がっていたり、反ってしまっていたり。
それも個性なので、曲がったものであれば、曲がっていてもよいもの、曲がってこその
デザインが活かせるものを作り上げるそうです。
石田さんの作品は、その木の生きている証がそのまま刻まれ、無骨ながらもぬくもりを
感じ、どこか落ち着く印象です。
それは木と真摯に向き合ってきた石田さんだからこそ、木が応えてくれている、そんな風に感じます。 -
03 余すことなくすべてを使って
石田さんの作品は全て、天然木の端材を使用して作られます。
製材所や家具屋では、使わなくなった木や端材を燃やしたりチップにしていることが
多いそうですが、石田さんは余すことなく木を使います。
1枚の木から決まった形のものを作り出すと、どうしても使えない部分が出てきてしまう
ため、その木の形に沿って、木の赴くままに形を決めているとのこと。
木、それぞれの個性を生かしながら捨てる木を少なく、作るうえでもなるべく端材を
出さないように日々ものづくりをされています。 -
04 めいっぱいの愛情が詰まった作品たち
特別な日に出してきて使うのではなく、毎日使ってほしい。
使い込むことで木の良さを分かっていただけると思うし、使っていくうちに愛着も沸いてくる。
作品を作る中で、出来上がった時や、仕上げの際にオイルを塗ると、思っていた以上に木の美しい木目が出てきた時はとても嬉しい。などと嬉しそうにお話する石田さんはまるで、
わが子を想う母親のようでした。
目いっぱいの愛情が込められた石田さんの作品を是非、皆さまにも手に取って感じて
いただきたいと思います。
兵庫県加古川市にある「ろくやおん。」さんの工房より
撮影で作業場へお邪魔し、実際に私もカッティングボードを作らせていただきました。
どの木にするか、どんな形にするのかというところから、
仕上げのオイル塗りまでをさせていただきとっても楽しかったです。
思うように木を切るのが難しく、想像以上に力がいる作業で驚きましたが、
普段なかなかできない体験ができ、教えていただきながら素敵なものを作ることができました。